現代インド事情

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インドは、2050年度迄に送電網に5000億ドルの設備投資が必要になる可能性がある

20240420
ファイナンシャル・エクスプレス;

要約訳

ゴールドマン・サックス社は、インドの送電設備投資額は50年度迄に5,000億ドルを超え、エネルギー転換のための設備投資全体の30%を占める、と予測しました。

「送電は、インドのエネルギー転換と世界的な新エネルギー・コスト・リーダーシップ構想の鍵である。インドの大規模で高度に統合化された送電網は、最も低コストの再生可能エネルギー発電施設の利用を可能にし、中央送電網へのアクセスを無料にする事で、政府は2700億ドル相当の間接的な財政支援を通し、再生可能エネルギー・プロジェクトが実行可能になる様支援している」とゴールドマン・サックス社は報告書で述べています。

余剰送電インフラを構築し、それを自然エネルギーのために無料にして置く事は、経済的に理にかなっている、と(報告書)は述べています。

ゴールドマン社によれば、インド電力送電公社(PGCIL;Power Grid Corporation of India )は、2024~50年度の間に5,000億ドルを超える送電網の獲得可能な最大市場規模(TAM; total addressable market ) の3分の1 を手中に収める最大の受益者となる見込みです。

「大きなバランスシート、低い負債コスト、強力な年間フリー・キャッシュ創出は、総獲得可能市場の多くを獲得するのに有利なポジションにある」との見方です。

インド電力送電公社は、又、大規模で複雑な複数地域のプロジェクトを実施するための直接指名権を得られると言うメリットもあり、インドが国境を越えた送電網の相互接続に注力するにつれ、プロジェクトが大幅に拡大する可能性がある、としています。

「インド電力送電公社のキャッシュ・フローを分析した我々(ゴールドマン社)の予測では、インド電力送電公社は単独で、現在の配当を維持しながら、32年度迄に計画されているインドの送電網設備投資の30%を賄う事が可能である」との見方です。

インド電力送電公社の負債コストの優位性は、再生可能エネルギーにおける大手電力会社NTPC(ナショナル・サーマル・パワー社)と同様であり、そのため、インド電力送電公社はオークション市場シェアの40%以上を獲得する事が出来ます。

「又、インド電力送電公社は、新規プロジェクト・オークションにおける競争激化が緩和する事による恩恵を受ける、と予想される」との事です。殆どの民間デベロッパーは、送電網の拡大には膨大な設備投資が必要となるため、バランスシートの容量を使い果たしている」と報告書は述べています。

ゴールドマン社(の報告書で)は、日立エナジー・インディア社を、インドのエネルギー転換に関する上流製造業向けの有望な投資案件先と見ている様です。

「日立は高圧機器製造の世界的リーダーであり、インドにおいて意義ある水準の国産化を達成している。

実際、日立エナジー・インド社は、日立エナジーの世界的な機器ポートフォリオの80%を製造しており、HVDC(直流送電; High-Voltage Direct Current)システム(金額ベース)の75~80%を国内で製造出来る能力を備えている」との事です。

ゴールドマン社は、日立が2024-32年度に1,050億ドルのグリッド設備投資を行い、総獲得可能市場規模が500億ドルに達する可能性がある、と予想しています。

更に、関連する総獲得可能市場が200億ドルを超える、と推定される様々な非電化事業にも参加する事が出来る、と見られています。

今後5年間で、配電システムの拡張と強化のために370億ドルの設備投資が行われる、と予想されています。

これ迄に140億ドル相当のプロジェクトが認可されており、シュナイダー・エレクトリック・インフラ(Schneider Electric Infra)社は、設備投資総額の50%以上を占めると推定されています。

https://www.financialexpress.com/business/industry-india-may-need-500-billion-capex-in-power-transmission-by-fy50-3462673/


私のコメント;インド全国土に渡る広大なインドの送電網構築は、高度な産業力確立、生活利便性レベル拡充のため、不可欠であり、スマートグリッド技術、再生可能エネルギーの統合・メインテナンスなどの観点から、日本・ドイツなどの技術力が必要と思われます。プロジェクト推進のためには、政府政策、規制、資金・資材の最適調達環境を考慮に入れ、国際的に有効な協力関係が必要、と思われます。


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